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研修会&講座のお知らせ

平成26年度 第3回学術講習会報告2014.06.15

平成26年6月15日(日)

平成26年度 第3回学術講習会報告

主催:(公社)大阪府鍼灸師会

会場:明治東洋医学院専門学校

 

報告①:「地域健康作り講習(特に介護予防と擦過鍼に重点をおいて)

講師:(公社)大阪府鍼灸師会 介護予防担当 吉村 春生 先生

 高齢者が増え続け、医療費が増大する中、国の方針として病院の病床を減らし在宅で療養する方向性が
明確にされているその時に、鍼灸師として私達がいったい何ができるのか。

「地域健康作り」の領域において、「認知症の予防」あるいは「認知症の方々と共に暮らせる町づくり」
に貢献できる道の可能性について、きっかけになれば幸いである。

介護、医療分野と連携するためには、地域のケアマネージャーや地域包括ケアセンターの方と仲良くなる
ことが非常に重要になる。

また平成27年度の大幅な制度改正で、要支援1,2の方を国から市町村の保険者の判断で支援できるよう
になるとき現在予防施策を模索している中、しっかり納得のいく理由を伝えれば、鍼灸を介護予防分野に
取り入れられる可能性がでてきている。

 65歳以上の15%、約462万人が認知症で、認知症になる可能性がある軽度認知障害の高齢者も約400万
人いると推計。65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍となる計算。

認知症の症状

 中核症状とは、記憶障害、見当識障害などをいい、現状では治らないが認知症であるかどうかの評価は
できる。(長谷川式、ミニメンタルステート検査など) 
 周辺症状とは、知的能力の低下によって起こる精神症状や問題行動をいい、記憶障害などによる混乱が
原因とされる。評価する検査評価基準はないが、ストレスにより発現し、介護を難しく負担を大きくして
いる。周辺症状の緩和は、ストレスからの開放であり、介護する側の負担も軽くなる。

 鍼灸を予防の分野で活用するために、擦過鍼法導入に当っての4つのポイント

  ①安全・安心 ②誰でもが受けやすい ③簡便である ④再現性が高い

擦過鍼をして期待できる利点

・治療後の直後効果があり継続性がある。

・介護者の言うことを拒否されていた方も素直になる。

・他の方と会話が増え、和やかな雰囲気になる。

・動作が早くなる。

・肩のコリ、軽い腰痛、目がかすむ、頭が重いといった不定愁訴が解消される。

・不活発であった表情・活動が活発になり、意欲が向上し、今までしなかったことをするようになる。

 擦過鍼の快い皮膚刺激が、抹消臓器・行動面・心理面のストレスを和らげる。

 東京都健康長寿医療センターの堀田晴美氏が皮膚への摩擦が脳血流の増加を促すという体性・自立神
経反射を、国際医療福祉大学の黒澤美枝子氏が背中への軽微な摩擦刺激がドーパミンの分泌を促すこと
を報告されている。(研修委員会委員 近藤 輝明)

 

報告②:「社会保障論  -地域包括ケアシステムについて-」

講師:(公社)大阪介護支援専門員協会 会長 濱田 和則 先生

 社会保障制度とは、社会保険、公的扶助、社会福祉、保健・医療で構成されているが、今回は「社会保
障改革と介護保険制度改革・報酬改定」という副題があり、主に社会保険の中の介護保険制度改正につい
ての内容であった。

 平成9年12月介護保険法が成立し、平成12年4月から実施された介護保険制度は、3年ごとに介護報酬の
改定があることや、市町村は3年を1期(平成17年までは5年を1期)とする介護保険事業計画を策定し、3
年ごとに見直しを行うことから、3年が1つのサイクルとなっている。これまでに4回の介護報酬の改定を
経て、現在は平成24年から第5期であり、各市町村は27年度の改正に向けて審議に入っている。
 今回の介護保険制度改正の主な内容は、

1.地域包括ケアシステムの構築   

(高齢者が住み慣れた地域で、個々の状況や変化に 応じて生活を継続できるように、医療・介護・生活
 等、様々な支援が継続的かつ包括的に提供される仕組み)

 サービスの充実:地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の充実

  ①在宅医療・介護連携の推進  
    (介護保険法の地域支援事業に位置づけ、市町村が主体で地区医師会と連携しつつ取り組む)

  ②認知症施策の推進 
    (認知症になっても本人の意思が尊重され、出来るだけ住み慣れた地域で暮らせる社会の実現) 

      ③地域ケア会議の推進     
    (行政職員をはじめ医療関係者、民生委員など 地域の関係者から構成される会議体)

  ④生活支援サービスの充実・強化 

    (ボランティア、NPO、民間企業など多様な生 活支援サービスの提供と、高齢者の社会参加
促し、多様な生活支援を市町村がバックアップ)

 重点化・効率化

  ①全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が取り組む地域支援事業に段階的に移行し、
   多様化することで、効果的・効率化な事業を実施。

   平成24年度に導入した介護予防・日常生活支援総合事業を発展的に見直し、市町村単位で実施。

  ②特別養護老人ホームの新規入所者を、原則、要介護3以上に限定(既入所者は除く)ただし、要介
   護1,2でも一定の場合には入所可能。

2.費用負担の公平化

 低所得者の保険料軽減を充実

 重点化・効率化 

  ① 一定以上の所得のある利用者の自己負担を引き上げ。

  ② 低所得の施設利用者の食事・居住費を補填する「補足給付」の要件に資産などを追加。

               (研修委員  吉野亮子)