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素問

9月素問勉強会2014.10.20

日時 :平成26年9月14日(日)

会場 :大阪府鍼灸師会館3階

講師 :日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

 

『医道の日本誌』2014年8月&9月臨床に活かす古典「№28 選穴」&
「№29 要穴 その1」のお話から

 鍼灸の経験というのは、つぼを使う経験。 つぼを選ぶ経験というところに行き
つくんじゃないかなという風に思いますねえ。こちらでこう技をかけて、相手をひ
っくり返すというんじゃなくて、相手の状態に基づいて、それを観察して、それを
運用すると上手くいくというぐらいでいいんです。ですから腕が上がるとか上がら
ないとかじゃなくて、いかに相手のことを上手に観察、つまり診察してるかってい
うことが、つぼを選ぶっていうのに深く関係するんじゃないかなっていう風に思う
んですね。

 選穴というのは『素問』や『霊枢』の後で二つの方法をとりました。というのは
(中国の)医学は二つの方法を取ったからで一つが『明堂』といわれる「経穴書」
が出来たっていうことです。それからちょっと遅れて出たものと思われますが『難
経』という本が出来たという。この二つが出来たという事により選穴という方法が
大きく変わりました。

 『明堂』っていうのはご存じのように『甲乙經(鍼灸甲乙經:しんきゅうこうい
つきょう)』とか、引かれてるものしか残っていないので原型がどうなっていたの
かは、わからない。原型は、二つの説があって、一つは主語(つぼの名前)、それ
に場所(部位)を書いて、その下にどういうもの(病症)が治るかって書いてある。
こういう構想だったって考える人が居る。それからそうじゃなくて場所と主治穴は
別々に書いてあったという人の二通りあるんですね。

 『難経』はご存じのように六十九難、五兪穴の運用というのが有名ですね。主に
『難経』の選穴論というのは六十九難、それから七十五難の五行の相生、相剋に基
づく選穴ですね。それから六十八難。全部五行説がもとになっていますので、五行
説をやらない人には非常に人気がない。戦前の経絡治療の人たちがやった(難経の)
「六十九難」に対する非常に突っ込んだ研究というのは非常に特異なものだと思い
ましたね。だけどそれをやったおかげで、初めて組立が大事だとか、あるいは陰経
に対して陽経の組み合わせが大事なのだとかがわかる。

・六元正紀大論篇第七十一 第十八章14節~第十九章(第十八章から講義内容を

 抜粋)

 “帝”は、言われた。温や涼という状態の季節の時にはどうなのか。

 “岐伯”は答える。六気〈主気、客気何れも〉が熱の時期には、熱の薬をやっては
いけない。寒も同じ。涼も同じ。温も同じ。客気の閒氣(かんき)と主気の六気が
同じ熱と熱、寒と寒、涼と涼、温と温になるときにはこの原則にしたがうこと。客
気の閒氣と主気の重なった六気が同じものでない時、たとえば主気の第一気が厥陰
風木〈温〉であって閒氣が陽明燥金〈涼〉そういう風な状態であれば、二つが同じ
ものではないので、その原則は必ずしも全部守る必要はない。必ず慎重にこの判断
を分かつこと。

 “帝”は言われた。それは、わかったが犯すというのは、どういう風なことなのか
と。

 “岐伯”が答える。客気と主気が一致しない時には、主気の方を中心に考えればい
い。
客気の太過にしたがって、つまり客気がどういう状態か、主気が何なのかという風
なことを考えて、原則に従わない治療が出来る。たとえば熱の時期に熱を加えると
いうこと。熱薬や寒薬を季節を考えながら薬を処方する。治療の限度というのは期
が季節を考えながら薬を処方する。治療の限度というのは期が平らかになった状態
が限度だ。それ以上の治療も、以下の治療もしてはいけない。やりすぎというのは
間違った治療だ。時期に応じてちゃんと気がやってくるということをまず知ってお
く必要がある。季節の五運と六気がどういう風にくるかということを知っておけば
季節の法則性〈天信〉を失うことはない。季節の氣というものが大過になってくる
と、それを抑えるための氣が働く。それを勝〈しょう〉という。勝の状態があんま
りひどくなってくると、それをまた復元するものがあり、それを復〈ふく〉という。
六気の状態というものを十分に知って、しかもそれを抑えたりあるいは、そのまた
逆をやったりするような、勝とか復とかいうものを下手に助けることによってバラ
ンスを崩すということをしてはいけない。そのようにしないということが最高の治
療〈至治〉である。

閒氣(かんき)とは、司天、在泉以外の六気。初の気、二の気、四の気、五の気
   の事。

*次回は、【六元正紀大論篇第七十一第二十章】から始まります。
                (素問勉強会世話人 東大阪地域 松本 政己)