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研修会&講座のお知らせ

平成26年度 第11回学術講習会報告2015.03.11

平成27年2月8日(日)
平成26年度 第11回学術講習会
主催:(公社)大阪府鍼灸師会 会場:森ノ宮医療学園専門学校

講演①:「鍼灸から統合医療へ -理想の医療を目指して- 」
       講師:統合医療クリニック高橋医院  高橋 徳 先生

 先生は、「統合医療とは、西洋医学に東洋医学やヨガ、太極拳、気功、
禅等を加えることによって疾病の治療、予防或いは健康増進をはかる医療
です。」と説明されています。そして医師の立場から統合医療について多
方面にわたって研究され、幅広く講演されていますが、今回は特に鍼灸が
生体にもたらす影響を西洋医学的に解説された何点かを紹介します。

1 抗うつ作用
  視床下部のオキシトシンと言う物質がストレス軽減に大きく関与して
 います。このオキシトシンの放出を刺激する事ができれば、ストレスに
 起因する、うつや不安の解消に繋がります。
 我々は鍼刺激により、それが可能です。

2 鎮痛作用
  脳内モルヒネ様物質のオピオイド。
  これもやはり、鍼刺激が末梢の知覚神経を経て大脳へ届きオピオイド
 の分泌を促し疼痛軽減に繋がります。

3 自律神経機能の改善作用
  脳幹は自律神経機能の調節をしていますが、やはり鍼刺激が末梢の知
 覚神経を経て脳幹に届き自律神経機能の改善が期待できます。よって循
 環器、呼吸器、消化器その他の疾患の治療に効果が期待できます。

 どれも我々が日々当たり前の様に接していることですね。
また鍼もプラセボ効果がかなり影響し、鍼を信じる患者とそうで無い患
者、自信を持って施術するか自信なさそうにするかでも、大きく左右さ
れるそうです。患者さんに「鍼は良く効く」と伝えておくことは重要な
ことなんです。

 この様に西洋医学的にお医者さんが解説されると、鍼灸治療未経験の人
でも幾分受け入れてもらいやすいかな?と思いました。
 最後に高橋先生のお話で印象深かったのは、統合医療は自分で治そうと
する積極的な意識が大切だということでした。
                  (研修委員会委員 中川 欣久)

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講演②:「経絡治療と体表観察」
            講師:経絡治療学会 会長 岡田 明三先生

【講義】
 西洋医学は「已病」を扱って「予防医学」と対応するが、東洋医学は
「未病」を扱い「養生」という言葉と対応する。この「未病」の概念は
平成9年の『厚生白書』にも登場した。また、西洋医学は二元的で「健
康」と「疾病」の間ははっきり分かれるが、東洋医学では「健康」「未
病」「疾病」の間が一元的に推移する、と考えられる。
 経絡治療の本治法は全身治療である。痛むところにだけ鍼をして障害
の元になることは避けられる。
 経絡という言葉は、「経」はタテ糸、「緯」がヨコ糸で「絡」はその
間の連絡するものをいう。経絡というキーワードはタテ方向をイメージ
する。
 経絡治療と中医学を比較する、中医学は、証概念もあるが、主治穴
(たとえば風邪に風門、胃の特効穴に足三里)を重視し、「対症療法」
となっている。経絡治療は、経絡の変動に対応して、「五行の要穴」を
補瀉する本治法である。
 病位・病情・病勢の用語を使用する。病位は表裏や内外、上下を、病
情は寒熱を、病勢は虚(気血の不足)、実(主に発熱)を表す。
 身体は、気・血・津液から構成されている。
 証は大きく、陰虚・陰実・陽虚・陽実に分類される。
(報告者注:寒熱の用語に戸惑われる方もおられよう。鍼灸養成学校の
教科書「東洋医学概論」では、1993年に改訂され中医学が大幅に取り入
れられ、「寒熱」の概念の比重が高くなった。それに対応すべく経絡治
療学会の教科書「日本鍼灸医学・基礎編」も1997年に制定され、改訂を
経ながら現在に至っている。古典の原点に戻って寒熱も考慮に至っ
てい
る。)

【実技】
 上質な鍼灸治療(やさしい、ジェントルタッチ、エレガントなもの)
を心掛けてほしい。自分を知る(のんびりしている、几帳面、粗野な
ど)を知ることが「ヒヤリハット」を減らす。
(患者役-細身の女性)
 「望診」爪スプーンが見られる。血虚を示すので、口唇も赤いかどう
か確認する。
 「脈診」初めて触れる時が肝要。湿り気、乾燥、温かい、冷たいなど、
触れた瞬間、の印象が大切。緊張していて湿っている(交感神経の
興奮)
ことが多い。なれると乾いてくる。
足先が冷えて濡れている。話ししながらリラックスをさそう
 「腹診」お腹に動悸がみられるのは、血流に渋滞がある。
 「伏臥位」脊柱の傍らの触診は中指を脊柱の中心にして指3本でなで
下ろす。年齢を重ねると、腰椎間のすき間がせまくなる。兪穴一行二行
をなでて硬いところ凹むところを診る。下腿は委中から下の左右の温度
差をみる。交感神経が緊張すると足うらがベトベトしている。(背部兪
穴左右6か所に置鍼、膀胱経の絡穴「飛陽」に10~15分置鍼)話し
かけると交感神経が興奮したままで神経が鎮まりにくいので置鍼して寝
かせておくことも重要。息をはく時に刺鍼すれば痛くない。(実技中な
んども繰り返し強調された)抜鍼する時も息を吐く時に。
 「仰臥位」足が冷たいといわれ、お腹の呼吸をみながら太渓と曲泉に
置鍼。(呼吸を見て、「はく時に刺鍼」と強調しながら)
 高橋徳医師も見学されている中で、東洋医学的理論に寄りながら、現
代医学的な自律神経に基づいた説明も可能である、というのが日本的な
東洋医学をうたう鍼灸師の特色であろう。
                  (研修委員会委員 三木 完二)