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5月 素問勉強会2015.06.09

●日 時:平成27年5月10日(日) 
●会 場:大阪府鍼灸師会館3階   
●講 師:日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

『医道の日本誌』2015年5月 臨床に活かす古典 「№37 手技 その1」のお話より 
  『素問』『霊枢』に対して『難経』と『明堂』というのが後の時代のものだと考え
 ている。
  『難経』や『明堂』に書かれた内容の多くが後の時代に残った。『素問』や『霊枢』
 に書かれた内容の大半が、すでに本が出来た段階でも怪しい状態であり、その後なか
 なか伝わらなかったと考えるのが普通なのではないかと思っている。【*『明堂(明
 堂孔穴鍼灸治要)』は現存しないが、その内容は、『鍼灸甲乙經』に編集され残され
 ている】
『明堂』の手技
  『明堂』で問題になっているのは、鍼の刺す深さと鍼を留める時間、灸の壮数のみ
 である。『難経』の手技というのも補瀉だけである。『難経』や『明堂』が著された
 後漢時代には、医学というものが変わってしまっていて『素問』『霊枢』に書かれて
 いる手技というのは補瀉論を除いて残らなかったという風に考えたらいいと思う。何
 故そういう風になったのか考えてみると五
蔵・経脈主体にして考えていた鍼というも
 のが兪穴主体に変わっていったというのが大きいと思う。
  『明堂』に記述のある349穴の3分の2は躰幹、手足の部が3分の1ぐらいで全部に
 鍼の刺す深さというのが書かれている。これは病状によってこれぐらいの深さで刺し
 なさいと言っているのではない。たとえば手の太陰肺経の少商穴には一分の深さに刺
 しなさいといっている。三分や五分の深さは多いが、これは病態によって刺す深さを
 使い分けるのではなく、このつぼにはこれだけの深さを刺しなさいといっているので
 ある。
  鍼の刺す深さは全部のつぼ(禁鍼穴を除く)に書いてあるが、何呼吸留めておくと
 いう記述は、記載されたつぼの48%に留まる。
  置鍼時間の記載のある180穴の中で、その時間は平均6呼吸ぐらいである。
  背部の兪穴や手足の五兪穴に表記が集中して、置鍼時間が書かれている。また十二
 経の郄穴には何呼吸か書かれていないが、これには何か意味がある
ように思う。

◇六元正紀大論篇第七十一 〜第五十六章〜
  六気は一年間を60日ごとに、六つの気に分ける考えかたである。一年間固定して
 変わらない六気を主気という。その順番は、(初之気)厥陰風木⇒(二之気)少陰君
 火⇒(三之気)少陽相火⇒(四之気)太陰濕土⇒(五之気)陽明燥金⇒(終之気)太
 陽寒水である。主気は一年間を固定したもので、夏は暑くなる、冬は寒くなるという
 ように、我々が意識の上で想定できるものである。
  これに対して、たとえばエルニーニョで今年は暑いとか毎年の気候の違い、違うと
 いう部分を理解するために考えられたのが客気である。客気は固定しないもの。毎年
 変わるものである。その初めの気は次の六つのうちのいずれかとなり、
  ⇒厥陰風木⇒少陰君火⇒太陰濕土⇒少陽相火⇒陽明燥金⇒太陽寒水⇒
 の循環である。
 主気と客気では、太陰と少陽の順番が入れ替わっている。
第五十六章より
  厥陰の至る所は、ゼンレイを為す。
 筋肉が短くなってねじれてしまって伸びない。
  少陰の至る所は、悲妄(ひもう)、衂衊(じくべつ)を為す。少陰君火は火の気。
 火の気は目に見えないが、それが熱や燃える火となって目に見えるようになる。火熱
 の症状が出る。火熱により心の気が不足すると、悲しみ、そして何となく頭がぼうっ
 として注意が散漫になる。鼻血が出て溜まり動かなくなる。
  太陰の至る所は、中滿(ちゅうまん)、霍亂(かくらん)、吐下を為す。おなかが
 満ち満ちて苦しい。突然に激しく吐いたり下したりする。 少陽の至る所は、喉痺
 (こうひ)、耳鳴(じめい)、嘔涌(おうよう)を為す。のどの脹れ・痛み、耳鳴り、
 食物が嚥下出来ずに戻ってくる。
  陽明の至る所は、皴掲(しゅんけい)す。皮膚が乾燥してひび割れる。
  太陽の至る所は、寝汗(しんかん)、痙を為す。寝汗(ねあせ)が出る。手足が引
 きつったりする。太陽寒水で腎の病なので寝汗(ねあせ)だと注解者は考えているの
 だろう。
  病の常なり。以上が「病之常」の第3種である。
その他
  病證の解釈という事でやめたほうがいいと思うのは、現代の医学の病名にあてはめ
 ることと、もう一つは中医学の辞書だけで全部を解釈すること。それをすると矛盾が
 無くなってしまう。やはり古い時代のものなので、古い時代の内容にきちんと戻して
 いくということが大事なことです。

  辞書でベターなものは『内經詞典』『黄帝内經詞典』『黄帝内經大詞典』この3つ
 が一番有名なものである。    
(素問勉強会世話人 東大阪地域 松本 政己)   

:P次回は、六元正紀大論篇第七十一 第五十七章からです。
  皆様のご参加をお待ちします。