学ぶ

HOME » 学ぶ » 素問 » 6月素問勉強会

素問

6月素問勉強会2015.07.07

●日 時: 平成27年6月14日(日) 

●会 場: 大阪府鍼灸師会館3階 
●講 師: 日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

◆『医道の日本誌』2015年6月 臨床に活かす古典 
 「№38 手技 その2」のお話より 
  鍼法がいつ中国で復興したかというと、南宋時代(AD1127~1279)であ
 る。
  北の方に金という国が有り、南の方に宋という国があって、金と南宋が南北で対立
 した
時代である。竇黙(とうもく)という人が『鍼経指南(しんぎょうしなん)』と
 いう本
を書いていて、この本が本格的な鍼法の復活、ひいては補瀉の方法、手技、そ
 ういうも
のの先鞭をつけたということは、はっきりしている。
 竇黙は、もちろんその時代に『素問』『霊枢』『難経』を入手して、それらの本を自
 分
なりに噛み砕いて応用することによって補瀉の手技とプラスアルファの手技を自分
 なり
に展開した。
  一つは14種類の手技(十四法)を使って、気の渋滞や虚実・寒熱に対したのである。
 鍼を刺す前に、その辺りを按圧したり、経脈のところを摩擦したり、刺した鍼を上下
 し
たり、それから刺した鍼を回転させる、動揺させる、爪ではじくといった手技であ
 る。
また鍼を抜く時の雀啄(刺した鍼を上下する)、鍼を抜いた後に鍼の穴を閉じる。
 これ
は、補瀉の手技も含まれているし、気を集めるということも含まれていて、それ
 らの総
合的なものを14種類の手技に集大成した。根拠になっていたものは『素問』
 の離合真
邪論とか『難経』の七十八難を根拠にして、その部分を応用して展開をした。
  十四法は、ある程度深く刺さないと出来ない手技が含まれている。たとえば雀啄(
 じ
ゃくたく)も、ある程度の刺す鍼の深さを必要とする。また刺した鍼を回転させる
 にも、
ある程度の刺す深さを必要とする。日本の経絡治療で十四法を使おうとすると
 出来ない
手法がある。

◇六元正紀大論篇第七十一 第五十七章~第五十八章 第五十七章より
  厥陰の至る所は、脇痛(きょうつう)、嘔泄(おうせつ)を爲す。
  厥陰風木の気(大寒~春分の時期)が来ると、肝の病の、胸の両側、肋骨の部分が
 痛くなる。脾の病の、ものを吐き、泄瀉する。

  少陰の至る所は、語(ご)と笑(しょう)を爲す
  少陰君火の気(春分~小滿の時期)が来ると心の病の、うわごとを言ったり、理由
 も無いのに笑いが出て止まらない。
 
  太陰の至る所は、重(じゅう)と胕腫(ふしゅ)を爲す
  太陰濕土の気(大暑~秋分の時期)が来ると湿邪により、体がだるく、(重は體重、
 身重であると注解者が言っている)むくむ。

  少陽の至る所は、暴注(ぼうちゅう)、瞤瘛(じゅんせい)、暴死(ぼうし)を爲
 す
  少陽相火の気(小滿~大暑の時期)が来ると、急に下痢をする。トイレに行ったら
 すぐに水様便が出る。(暴は急にという意味である)まぶたがピクピクし、からだが
 けいれんを起こす。急に意識不明の状態になる。意識というのは陽の気が支えている。
 陽の気があまり盛んになると、陽の気で出来ている意識というものを打ち壊してしま
 い、頭がぼんやりする状態になったり意識不明になるということが出てくる。

  陽明の至る所は、鼽(きゅう)と嚔(てい)を爲す
  陽明燥金の気(秋分~小雪の時期)が来ると、初期的なからだを冷やす状態になる。
 そこで鼻づまり、鼻水、くしゃみの症状が起こる。

  太陽の至る所は、流泄(りゅうせつ)と禁止を爲す
  太陽寒水の気(小雪~大寒の時期)が来ると寒気が下って行き、おなかに影響を与
 えて下痢をする(張介賓の「流泄」の注。ほかに高士宗は「流泄」を「汗が外にもれ
 る」と注解しているが、ここでは、張介賓の注を取りたい)
 禁止は(張介賓の注にしたがえば)冷えて陽の気の働きがよくない。そのために大小
 便が出ない。体から出る諸々の体液が出ない状態である。流泄と禁止は矛盾していて、
 方藥中という人は『黄帝内經素問運氣七篇講解』という本で「歴代の注解者の解釈は
 さまざまだ」と一通りではない解釈が存在することを記している。そこで「ここはち
 ょっとわからない」としておくのが適当ではないかと思う。太陽寒水なので『難経』
 六十八難を援用するとすれば「流泄」は、泄瀉でいいのだが、「禁止」というものの
 解釈が難しい。しかも「禁止」という病證名はないので解釈はなお難しい。

 病の常なり。
 以上が「病の常」の第4種である

:D次回は、六元正紀大論篇第七十一第五十九章からです。

8月は、年に一度の特別講義となります。テーマは『古典鍼法の手技について』です。
 (素問勉強会世話人 東大阪地域 松本政己)