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研修会&講座のお知らせ

平成27年度 第3回学術講習会2015.07.07

●日 時: 平成27年6月14日(日) 13:30〜16:45
●会 場: 東洋医療専門学校
●主 催: (公社)大阪府鍼灸師会
 
講演①:「コミュニケーションの向上」
 ~「私の事が伝わらない」「相手のことが理解できない」を心理学の視点から学ぶ~

                講師:TA教育研究所 理事長  あべ ともこ 先生

 国際TA(Transactional Analysis:交流分析)協会の教育部門認定資格をもつ数少ない
日本人講師の一人であり教育コンサルタントでもある、笑顔の素敵なあべ先生から、「準
拠枠」「人生の立場」「OK牧場」のキーワードでお話いただきました。
 
◆準拠枠
  幼い頃からの体験や経験、学習したことから出来上がった自分の価値観の枠を「準
 拠枠」という。すべての人は、それぞれ自分特有の準拠枠をもっており、同じ言葉を
 聞いても、その解釈は違ってくる。
 
◆人生の立場(ライフ・ポジション)
  ストレス時の自分が信じこむ自分自身と、他者、世界観をどのように捉えているか、
「私」「あなた」「OK」「OKでない」という象徴的な表現で4つに分けることができる。
 
 1.  私はOKである、あなたはOKである
  
 2. 私はOKでない、あなたはOKである
       ・・・犠牲者(患者さんの立場)
 
 3. 私はOKである、あなたはOKでない 
        ・・・救助者、迫害者の立場
 
 4. 私はOKでない、あなたはOKでない
 
  健康な立場は、自分も他人もOKであるという「I'm OK, You are OK」の立場。
 例えば、自分はOKだけど、他人はOKでないという「I'm OK, You're not OK」の立場の
 人は、自分を正当化し相手を責めることが多くなり、相手を排除するようなパターンに
 なる。逆に、自分はOKでないが他人はOKという立場の人は、いつも自分の至らなさを
 責めがちになる。自分も他人もOKでないというのは、絶望的になってしまう。
 
◆OK牧場
  人は4つの「人生の立場」のひとつを基礎に置いて、自分や他人、世間に対し片寄っ
 た見方をしながら成長期に達する。しかし、その基礎となるひとつの人生の立場に24時
 間ずっと立ち止まっているわけではなく、常に4つの立場を行き来している。
   また、幼児期から就学前頃までに学び決断した「お気に入りの感情」を持っており、
 何かストレスがあると、他の感情表現があるにもかかわらず、その決断した感情を選び
 表出してしまっているといわれている。
 
  OK牧場って何? 私の頭にはガッツ石松さんの顔が浮かぶ中、講義がはじまりまし
 たが、「そうだったのか!」と自分のことや知人のことが納得できる興味深い心理学で
 した。
   治療者は、3の立場になりがちです。 
   ある出来事に対する反応が人により異なること。自分のストレス時における反応がパ
 ターン化していることに気づき、「いま、どのライフ・ポジションにいるのかしら?」と
 問いかけ、1の健康な立場に戻るよう心がけることが必要かもしれません。

                          (研修委員会委員 金田 暁美)

 
講演②:「心理療法の下ごしらえ」
                講師 平井クリニック院長 精神科医 臨床心理士 平井 孝男 先生
  親しみのある雰囲気でニコニコと笑い声をあげながら漫談のように話される、何処に
 でもいそうな「関西のおっちゃん」のような方が本日の講師だった。冒頭5分でおそら
 く聴衆のほとんどがその独特なキャラクターに飲み込まれたように見えた。これも心理
 カウンセラーの術なのか?一気に集中力が高まった。
  ご自信でクリニックを開業され、新大阪カウンセリングセンター、大阪経済大学客員
 教授もされており、精神科医、臨床心理士である。
  心理療法の流れは、初診時では、しっかりと相手(クライアント)の話を聞く。何を
 して欲しいのか?そしてどうなりたいのか?は明確にしておかなければならない。上手
 く話せないようなら相手に合わせながら質問をして理解をする。質問も幾つか形式があ
 り、ふわり質問、選択型質問、質問返しなどがある。肯定してもらうことを相手は一番
 望んでいる。そして共感して一緒に問題解決に向かう、となる。ただし、共感しすぎて
 もいけないし、肯定できる部分と出来ない部分は区別するように注意しておく。基本的
 に普通に会話をする。ただ、一人一人によってやり方は全部違ってくるし、またその場
 その場で対応を考えなければならない。
  特に相手に話しをさせるか話させないかは重要な問題。相手に無理に言わせるのは問
 題だが、言わないままに放置するのも問題。言いにくい事柄が結局は問題解決へのキー
 ポイントになってくるからだ。実はそれこそが相手の言いたい事であり、分かって欲し
 い事である。その問題となる事柄を共有できなければ真の問題解決には至ることは出来
 ない。
  薬は応援団。薬は万能ではない。過剰な効果の期待は禁物である。薬が効かないから
 とイライラして返って症状が悪化する場合がある。飲まないよりは飲んだ方がいいので
 は?くらいに軽く考えるようにアドバイスしておく。最近はストレスを抱える人が多く、 
 精神科や心療内科などの受診も多くなり、結果として医師が多忙になり、カウンセリン
 グもそこそこに対症療法的に安易に薬を大量に出しすぎる傾向がある。薬の過剰摂取で
 脳機能の低下を招く恐れがあるので危険だと先生は危惧される。
  不安は減らそうと思えば思うほど、不安は増える。不安はゼロになることはあり得な
 いことに気づかせ、少々思うように行かなくても構わないという覚悟を持たせる事が肝
 要。
  料理にも下ごしらえが必要なように、カウンセリングにも治療家としての準備や心構
 えが必要である。
  心理療法は面白いと先生は話される。人間の奥深さに出会ったり、人間のいろんな面
 を発見できる。また、クライアントが何を悩み不安に思っているかなどを謎解きのよう
 に一つ一つ解決して行く面白さがあるという。
  臨床の場で実際にあった実例をあげてご講演頂き、人の心の闇へのアプローチの方法
 をほんの触りの部分だろうがユーモアを交えて教えて頂きました。しかも笑いが絶えな
 い中あっという間の90分であったが、よく理解することが出来ました。
                        (研修委員会委員  賀来 祥克)