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11月素問勉強会/至眞要大論篇第七十四注 第四章~第六章2015.12.12

●日 時:平成27年11月8日(日) 
●会 場:大阪府鍼灸師会館3階
   
◆講 師:日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生

『医道の日本誌』2015年11月 臨床に活かす古典 「№43 治療その3」
 のお話より 
 経絡治療が出てきた最初の論文というのは岡部素道の「臨床時に於ける脈診と経絡
の関係に就て」である。これは昭和15年(1940年)の11月、太平洋戦争の1年前に雑
誌「東邦医学」に掲載されたものである。
 これは岡部が昭和15年の夏に講義をして、秋に論文を書いた非常に有名なもので、
諸々の本によく引用される。しかし引用はされるがあまりちゃんとした解析をされな
いのが特徴である。  

 この論文の中心になるのは、左右の脈診部位の寸関尺の浮沈(上と下)の虚実12ヶ
所×2=24の情報をみることと、もう一つは左右の寸関尺という場所で24脈状をみて、
その補瀉をどうするかということである。(24脈状は七表八裏九道という中国の宋代
から明代の前半ぐらいに流行った脈の分類法である)
 左右の寸関尺診は、後に六部定位脈診といわれるようになる。六部定位脈診という
名前は昭和18年(1943年)ごろに出てくる。経絡治療を普及させるために「東邦医学」
編集長の竹山晋一郎が、岡部素道と井上恵理の2つのグループに3例ぐらいずつ治験例
を書かせるという方法を取った。昭和17年までの「東邦医学」というのは色々な人た
ちの治験例が出ていたが、昭和17年以降は経絡治療の治験例ばかりになった。
 経絡治療の治験例の本質の部分は脈診と治療方針と選穴と本治法である。画期的な
のは論文の題名が、「肝経虚証三例」や「肺経虚証二例」という風に陰経虚証の名前
がついているという事である。陰経虚証が病態の基本であるということがよくわかる。
もう一つ画期的なのは、脈診を五線譜ならぬ三線譜で書いたということである。脈図
というのは古くは「察病指南(さつびょうしなん)」の脈図があるし、それを転載し
た日本の「脈論口訣(みゃくろんくけつ)」などがあるが、浮中沈の三本の線に丸印
で脈の形を書き、脈が強ければ太い丸で、弱ければ細い丸で書くという風にしたのは
画期的なところである。
 左右の寸関尺の部位のどれが浮沈であったとしても単純に各部の脈の相対的な虚実、
つまり一つの部分で一か所ずつの脈状で、それを相生相剋に当てはめると陰経の虚実
だけが判定される。たとえば木虚金実という風に判定される。木虚とは肝経と胆経の
二つが虚しているということ。金実というのは肺経と大腸経が実しているということ
である。

●至眞要大論篇第七十四注 第四章~第六章  
  第四章より
 は聞かれた。「厥陰在泉にして酸化するということを聞いているけれども、(厥
陰が司天にきた場合は風化が行われるが)これが在泉にきた場合はやはり風化なのか。
自分が聞いていることとちょっと違うがこれで構わないのか」
 この帝の問いかけの背景には、厥陰風木の気が司天(一年を60日毎に六つの期に分
けた3期目)にくる年の働きは当然ながら風の気の働きというのが中心になるという
考えがある。司天というのが年の前半、あるいは全体をつかさどるという性格がある
ので、この年は風に関する気象の変動というのが起きるという考えが基本にある。厥
陰風木の気が在泉(一年を60日毎に六つの期に分けた6期目)にくる年には、年の後
半にその影響が及ぶのかという問いかけである。厥陰に司天がきた場合は当然風化と
いう、風というものの影響が気候として表れるが、これが在泉にきた場合はやはり風
化が行われるのかと問うているのである。
 岐伯が答える。「風が在泉の季節に来た時には風化では無くて、いわゆる五味に影
響を及ぼします。風以外の五つの気(六気の内の熱・濕・火・燥・寒の気)も同様で
す。六気は天の気です。五味は地の気です。司天は在泉に、在泉は司天に影響が及ん
で花開いたり実を結んだりという変化が六つの季節60日毎に分かれて行われます。そ
ういうことですから五行に合致した状態、たとえば厥陰風木の季節に風が起こり酸化
が起こる状態であれば、病気の機序とならないということは、このことを言っており
ます」

  中国医学は暑さ寒さの中に置かれている個人という発想があるのだと思う。自然
 の中の気に左右される人間という発想である。どういう病気になるにしても各季節
 の気のありかた、五運や六気や春夏秋冬の気が必ず影響して病気を起こすという発
 想が強いのでは無いだろうか。他人同士が病気に成りあうという伝染という発想は、
 現代医学にはあるが中国ではある時期までは無かったような感じがする。

 :D次回は、至真要大論篇第七十四注 第七章からです。
 『素問』の森を歩いてみませんか。あなたにとっての宝の木が見つかるかも知れま
  せん。皆様のご参加をお待ちします。

                                                             (素問勉強会
世話人 東大阪地域 松本 政己)