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研修会&講座のお知らせ

平成27年度10月度学術講習会報告2015.12.12

●日 時 : 平成27年10月11日(日)13:30〜16:45

●会 場 : 明治東洋医院専門学校

●主 催 : (公社)大阪府鍼灸師会

●講 師 : 不妊鍼灸ネットワーク会長 中村 一徳 先生

「不妊症について」
 去る10月11日、明治東洋医学院専門学校を会場にお借りして、不妊鍼灸ネットワーク
会長 中村一徳先生をお招きし「不妊症について」ご講演いただきました。

 今回の講演に先立ち「鍼灸通院者に妊娠した例が多くあっても、そこに鍼灸治療が介
入しなければ妊娠出来なかったのか、曖昧なまま行われているのが現状である。おそら
く殆どの鍼灸師が、そこに疑念を抱きながら治療しているのではないだろうか。不妊鍼
灸ネットワークでは、より確実な手技手法を選択し、1人でも多くの方が妊娠に近付く
ように、日夜研修と議論を繰り返している。当院で今年出したいくつもの最新データを
基に、不妊鍼灸のパワーと可能性を解説する。婦人科の初級講義は割愛して、極めてア
ドバンスドな内容をお届けしたい。」という、前振りをいただきましたが、期待に違わ
ず素晴らしい内容でした。

 下記のような小項目のお話があり、中でも2・3・4を綿密にご説明いただき、より
基礎理論的な検証が確立してきているのだと拝察いたしました。

1.当院のご紹介と鍼灸師歴30年の私見
2.生殖を俯瞰的に見るー微生物から哺乳類へ
3.医学的事実と東洋医学の整合性
4.婦人科の基礎知識−三瓶先生の講義から
5.タイミングの指導−妊娠のメカニズム
6.AIH段階の治療と指導−タイミングも併用
7.ART段階の治療と指導−育卵と着床障害緩和
8.治療の実際(ビデオ上映)

 中でも「不妊を作らないための社会」ということで、
1.晩婚化、生涯独身を抑止する教育
2.経済的、心身的ゆとり
3.子育ての支援、2人目を!
4.節度ある男女交際
5.家庭をもつ事の意義と福を考える
 という事は、今食い止めないと将来の老人福祉に直結する
→現在の生涯未婚率は男性20%、女性10%であり、危機感を訴えておられました。

 次に、臨床に対する姿勢として「問題となる医学的事実に対して緻密に対応した鍼灸
治療を、段階的周期的に行っています。」と述べられ、まさに臨床研究ともいうべき手
法を実践されていることは類を見ないと感じました。
 
 最後に不妊治療の要点として、
〈妊娠成立に対して期待する効果
(1)卵質向上(2)免疫寛容(3)内膜血流量の増加
〈妊娠維持に対して期待する効果〉
(1)免疫寛容による胎盤新生血管の質向上(妊娠高血圧の予防)
(2)卵巣機能向上による黄体機能維持
(3)血液循環の改善
をあげられ、治療デモのビデオを上映しながら、下記施術について解説していただき
ました。
 ・卵質の向上(星状神経節、卵巣動脈、寛骨孔へスーパーライザー照射)
 ・卵胞の発育促進(志室、胞肓、陰部神経叢施鍼)
 ・内膜の養生(中髎穴施鍼)
 ・着床の補助(パイオネックス)
 ・妊娠の維持 (同上) 
 ・温灸(卵巣動脈、固有卵巣索、子宮底など)
 
 内容が濃すぎて、初学者には難しかったかもしれませんが、臨床に対する真摯な姿
勢を感じることが出来ただけでも受講した甲斐があったのではと思います。
                       (研修委員会委員長 堀口 正剛)