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研修会&講座のお知らせ

平成28年度 第7回学術講習会報告12017.03.14

■日 時 : 平成29年2月12日(日)
■会 場 : 明治東洋医学院専門学校

講演1「トリアージの重要性と災害時に留意すべき疾病・

    災害時要配慮者とは」

      講師:大阪大学医学部付属病院 高度救命救急センター 

                       大西 光雄 先生

 「災害医療」とは「救急医療」とは違って、医療の需要(医療対象者)と
供給(医療能力)のバランスが崩れ、一人ひとりに十分な救急医療を提供で
きない状況を指します。同じ点で言えば、どちらも緊急対応を要求され、利
用する人的・物的資源はほとんど同じですので、救急医療システムなくして
「災害医療」は成り立ちません。

 限りある医療を迅速かつ効率的・効果的に提供しなければならない状況の
中で、我々に何ができるかという点で、今回はトリアージの重要性を中心に
講演して頂きました。

 すべての災害対応には欠かせない原則としてCSCATTTという7つの要素が
あります。多数の傷病者に対して行う医療対応は、3つのT(Triage:トリア
ージ、Treatment:治療、Transport:搬送)であり、この3つのTを支える
ための管理運営としてCSCA(Command& Control:指揮命令系統Safety:
安全、Comnunication:情報伝達、Assesment:評価)が位置付けられます。

 トリアージとは本来“選別する”という意味を持ち、数少ない医療資源の中で、
多数の負傷者をいかに多く救うかを目的に行われます。大きく分けて一次トリ
アージSTART法)と二次トリアージ(PAT法:生理学的解剖学的評価)とに区
分され、二次トリアージは救急医療者が行うため、我々が関係してくるのは一
次トリアージ(START法(図1))になります。このSTART法は誰でも可能で
あり、講義・訓練を受けていれば指示のもと組織の中で行うことが出来ます。
START法のポイントとしては、①初期トリアージ=START法は正確な診断は行
わない②トリアージの所要時間は一人につき30秒以内③トリアージ中に実施で
きる処置は“気道確保”と“圧迫止血”のみ④トリアージタッグは原則右手に装着、
不可能な場合は、左手→右足→左足→首の順(衣服や靴には装着しない)です。

 実施方法としましては、まず歩行可能かどうかで区分し、さらに歩行不可の
負傷者を気道評価・呼吸数確認・循環評価・意識確認の順で区分していきます。
その際に緑・黒・赤・黄のトリアージタッグを装着していきます。ここでの迅
速かつ正確な一次トリアージ(“ふるいにかける”トリアージ)がその後の二次ト
リアージ(“治療や搬送の順序を決める”トリアージ)に大きな影響を与えます。

 災害時の特徴として発生直後は、災害の直接的な被害による死亡や負傷が圧
倒的に多いですが、しばらく時間が経過すると災害の間接的な原因による死亡
や疾病が圧倒的多数を占めていきます。この中には以前から基礎疾患(高血圧
や糖尿病など)を抱えていて、災害により薬剤が不足しているなどの原因で十
分な治療を受けられないために症状が悪化してしまうというケースも少なくは
ありません。平時から災害時に留意すべき疾病を把握しておくことも重要な点
だということです。

 今回は、災害対応の根幹をなすCSCATTTの中でも、特にトリアージに関して
たくさんの知識を得ることができたのではないでしょうか。実際に例題19問を会
場全員で挑戦してみましたが、後半は正解率もぐんと上がり理解度も深まったと
感じました。                   (研修委員 荒木 善行)