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素問

29年度9月素問勉強会/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十一章より2017.11.01

●日時:平成29年9月10日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生

★医道の日本誌9月号888号発刊記念特集 88人による「ツボのとらえ方」について
 
全体を読むと、大事なことが提起されているなと思う。ツボを浅く取るという人が一定数いる。しかし、中には、ツボというのは立体的なもので、深い部分というのが関係しているのだという人もいる。その言い方の中には、いわゆる深い部分を押したり鍼をしたりして、深い部分というのがツボの何かであり、ツボの深さが関係するのだということがある。そうすると、ツボというのは深さがどの程度関係するのかという問題が、必ず出てくる。表面を触って、表面で終わるというような、私どもがやっている井上系経絡治療もそうであるが、しかし「深いところを見なければいけないんだ」という意味の内容を書いている人が結構いる。
ツボの深さの問題というのは、もう一度考えてみる必要がある。

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★至眞要大論篇第七十四注 第五十一章
 
帝曰く、其の脈應(みゃくおう)皆な何如(いかん)、と。
 
帝が尋ねられる。脈状は春夏秋冬でどのように、対応するのか。
 
岐伯曰く、差、正法(せいほう)に同じ。
時を待ちて去るなり。
脈要に曰く、春は沈ならず、夏は弦ならず、冬はしょく)ならず、秋は數(さく)ならざる、是れを四塞(しそく)と謂う。
沈甚だしきを病(びょう)と曰う(いう)。
弦甚だしきを病と曰う。
(しょく)甚だしきを病と曰う。
數(さく)甚だしきを病と曰う。
參え(まじえ)見るる(あらわるる)を病と曰う。
復た(また)見るる(あらわるる)を病と曰う。
未だ去らずして去るを病と曰う。
去りて去らざるを病と曰う。
反する者は死す。
故に曰く、氣の相守り(あい、まもり)司る(つかさどる)こと、權衡(けんこう)の相失する(あい、しっする)ことを得ざるが如し。
夫れ(それ)陰陽の氣(き)、淸靜(せいじょう)なれば則ち生化(せいか)治まり、動ずれば則ち苛疾(かしつ)起こる、此(これ)を謂うなり(いうなり)、と。

 
(訳文)
岐伯が答えた。「それぞれの違いというのは、正しい脈のありかたと同じものであって、それぞれの時というのが来ると、次々に脈状が変わっていく。『脈要』がいうところによると、(*1 春は沈ならず、夏は弦ならず、冬は濇ならず、秋は數ならず)これを四塞という」
 
 (*1 の解説)
原文は「春不沈。夏不弦。冬不濇。秋不數。是謂四塞」である。文中の「不」の字は、置き字にすぎなくて、これを否定の意味に訳するのはよくないといわれている。私も、訳文はそのまま読んで訓読しているが、この「何々ならず」というのは本当は良くない。「春は沈。夏は弦。冬は濇。秋は數。これを四塞という」という風にしないと、四塞の意味と合わないと思う。
 
 (訳文)
沈も弦も濇、數もはなはだしいものは病気だ。
複数の気が一緒になって、来るものを病という。
もうすでに季節が変わって、おとろえてしまった、あるいは、もう全く季節が変わってしまって、あるべからざるような状態、それの気がもう一度見えてくるようなものを病気という。(*例えば、冬に夏の脈が出るようなものを指している)
まだ季節が終わっていないのに、脈が変わってしまうのは病気である。
季節が変わったのに、脈が変わっていない状態は病気である。
こういう原理原則に、違う(たがう)ものは、予後不良である。
 
気の守りというのは天秤ばかりのバランスと同じである。
陰陽の気というものが春夏秋冬の季節をつかさどり、からだをつかさどっている。それはひじょうに静かで安定した状態であれば、生・長・化・収・蔵の気の収まった状態になる。
しかし正常ではなく、動ずれば非常に激しい病が起こる。
これをいうのである。
 
(*解説2)
『素問』四氣調神大論篇第二に「陰陽の四時は、萬物の終始なり。死生の本なり。これに逆らえばすなわち災害を生ず。これに従えば、すなわち苛疾起こらず。これを道を得たりという」とあり、そこから、おそらく作った文章であろう。
 
(*解説3)
人間というのは自然の枠組みからはみ出た存在である。はみ出た存在であるにも関わらず、この原理原則に縛られている。しかし、そこからはみ出してしまうような存在で、おそらく中国医学のこういうものは、自然に沿って生きようとする人達の原理となるようなもの、おそらくそういう風には書かれてないのであろう。
 
(*次回予告)
来月はいよいよ至眞要大論篇の一番有名な、後代に圧倒的な影響を与えた病機十九条の部分の解説に入って行きたいと思う。これはかなりくわしくやりたいと思っている。

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*『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。いつでも、みなさまのご参加をお待ちしています。
 
(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)