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平成30年4月素問勉強会(30年度)/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章より2018.05.24

●日時:平成30年4月8日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生
 
★医道の日本2018年4月号 『臨床に活かす古典№71 文献その4』のお話より
 
 経穴の選経選穴の勉強は、選経の方の勉強は流注なので、当然『霊枢』と『十四經發揮(じゅうしけいはっき)』である。
 是動病、所生病は少なくとも今のところ勉強は無理である。後漢の時代にもうわからなくなっていたものが、これからわかるかどうかは怪しい。まあ、わからないなりに、もう一度勉強してみる価値はあるかもしれない。
『難経』の「六十九難」「七十五難」「六十八難」の五行的な運用が選経、選穴の勉強になる。主治症の方は古い『明堂』と『銅人腧穴鍼灸図経(どうじんしゅけつしんきゅうずけい)』が勉強になる。『銅人腧穴鍼灸図経』はよく出来ていると思う。まとめかたが端正である。これ以降の人たちの本を見ると、これを元にして、それにパッチワークをしているなと思う。
『脈經』の左右寸関尺診も勉強になる。
 ほぼ、これだけあれば大丈夫だと思う。

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★『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章
 
⑰ 諸轉反戻(しょてんはんれい)、水液渾濁(すいえきこんだく)は、皆な(みな)熱に屬す(ぞくす)。
 
(解説)
 張介賓(ちょうかいひん)は言う。
「諸轉反戻は、轉筋(転筋)拘攣(こうれん:轉筋も拘攣も、どちらも同じ意味)、筋肉がひきつった状態になる」
「この箇所の水液は、小便のことである」
 
 方藥中(ほうやくちゅう)は、言う。
「諸轉反戻、水液渾濁は熱に属すると『素問』至眞要大論篇に書いてあるが、本当に熱に属するのか。臨床の経験からみると、必ずしもそうではないのではないか。熱證も確かに多いが、寒證も少なくない。だからみんな熱に属するというのは、いかがなものか。張介賓の論というのは熱に属するだけではなくて寒證も熱證もあると言っているが、この文章を理解する上で非常によろしい」
「病機十九条の中で諸轉反戻、水液渾濁のように病態が二つ書いてある文章は、六条ある。諸轉反戻だけだと熱もあれば寒もあるという風に言うことができる。水液混濁をいれることによってこの文章がみな熱に属すという風に固定される。そういう風に書いてあるのだ」
 
 
⑱ 諸病水液(しょびょうすいえき)、澄澈淸冷(ちょうてつせいれい)は、皆な寒に屬す。
 
(解説)
 方藥中の注解はこうだ。
「ここでいう水液というのは、人体中の各種の排泄物をいう。あるいは腫瘍のような、できもののようなものが出てくるようなもの、各種の液体状の物質全部のことを指している」

 張介賓はこのように言う。
「水というものは、もともと澄んでいるもので、その気というものは寒に属する。ものを吐くこと、下痢をすること、不消化便で、しかもそれほどにごっていないもの、そういうものは寒化の状態である。秋冬の寒いときに水が澄むのと同じことである」
 
⑲ 諸嘔吐酸(しょおうとさん)、暴注下迫(ぼうちゅうげはく)は、皆な熱に屬す。
 
(解説)
*嘔(おう)のもとの字は歐である。吐くという意味を持っている。
 方藥中は、「諸嘔吐酸は、酸っぱいものが口にあがってくる状態である」と言っている。
 張介賓はこう言っている。
「暴注というのは急に下痢をしてどっと出てしまう状態だ」
 
 方藥中はまた注解で、このように言う。
「下迫とは裏急後重(りきゅうこうじゅう)、便が出たけれどなにか残っているような、嫌な感じで痛みもあったりする。あるいは十分に便が出きらないという状態である」
 
 劉完素(りゅうかんそ)は、自身の著作『素問玄機原病式(そもんげんきげんびょうしき)』六氣爲病・熱類の中で、このように注を入れている。
「吐酸の酸、酸っぱいということ自身が肝木の味だ。もともと熱(火)というものがあり、五行説で考えれば、熱が金に勝つことによって、金が弱くなって木と火が盛んになるということである。肝木が盛んになる状態が酸っぱい味というものを出させる。

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*【五行の相尅(そうこく)関係】
相剋関係とは尅する(勝つ)ものと、尅される(勝てない)ものとの関係である。木は土を尅し、土は水を尅し、水は火を尅し、火は金を尅し、金は木を尅す。(木下晴都著『鍼灸学原論』昭和51年11月10日 医道の日本社発行 123ページより)

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*『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。

 さて、ここで八月特別講義のお知らせです。八月特別講義は、普段の『素問』から離れた独立したテーマですが、これがまた、いいんです。
 今年のテーマは『脈論口訣(みゃくろんくけつ)の研究』です。
 江戸時代にもっとも広く流布した脈書であるこの本の、位置づけや臨床的な読解について、理解を深める内容です。八月の第二日曜、場所も同じ、どなたにも、おすすめいたします。
 
(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)