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素問

平成30年6月素問勉強会(30年度)/『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十四章より2018.07.25

●日時:平成30年6月10日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生

★医道の日本2018年6月号 『臨床に活かす古典№73 校注』のお話より
 
 今『素問』『霊枢』の注で、なにが良いかと尋ねられたら、現在のものであれば郭靄春(かくあいしゅん)著『黄帝内経素問校注』『黄帝内経素問校注語訳』、『黄帝内経霊枢校注語訳』がある。ほかには山東中医学院が昔出していて、今も出ていると思うけれども、『霊枢経校釈』『素問校釈』がある。錢超塵(せんちょうじん)の新校本『黄帝内経太素』もある。
 他に著者では張燦こう(ちょうさんこう,こう=王へんに甲)も良い。その辺りの人の著作が使うには良い。日本語に訓読されているわけではないので、ちょっとそこは困るのだが、それを自分で読むのがいいと思う。
 
『素問』や『霊枢』よりもっと後の時代のものであれば中国の『中医古籍整理叢書(ちゅういこせきせいりそうしょ)』というのが結構、質が良いと思う。最近の中国のものは校注本といっても、質の悪いものが結構多いので、目録だけで注文するのは危うい。本を買う時は実物をみたほうが良いと思う。
 
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★『素問』至眞要大論篇第七十四注 第五十五章
 
 帝曰く(いわく)、善し(よし)。五味(ごみ)陰陽(いんよう9の用、何如(いかん)、と。
 
 帝が言った。「わかった」「薬物の五味の作用とその陰陽の別とは、どのようなものか」
 
 
 岐伯(きはく)曰く、辛甘(しんかん)は發散(はっさん)して陽と爲る(なる)。酸苦(さんく)は涌泄(ようせつ)して陰と爲る。
 
 岐伯が答える。
「辛味と甘味は、からだを温めて腠理(そうり)を開いて、そして熱を外に出してやる。汗を出すことによって熱が外に出る。それは陽の性格の薬である」
 
「酸味と苦い味は、吐かせたり、大小便を出させる。それは陰の性格の薬である」
 
(解説)
 王冰(おうひょう)という人は、涌泄の意味を『素問』の五常政大論を引いて、ものを吐かせることだと注をつけている。
 
 
 鹹味(かんみ)は涌泄して陰と爲る。淡味(たんみ)は滲泄(しんせつ)して陽と爲る。
 
(解説)
 王冰は、滲泄は小便のことだと言う。
 
『素問」至真要大論篇第七十四第二十一章に「淡をもって之を泄らす」という文章がある。これに王冰は注をつけている。
「泄とは、滲泄をいう。水の通り道の通りをよくしてやって、それを小便として下へ出してやる。そういう方法をとるのだ。治療の効果、薬物の効果として、そのようになる。しかし酸味は熱とはいえども、また用いて小便を利し、用いて伏水を去るなり」
 
 ここで王冰はこのように注を入れる。
は滲泄(しんせつ)である。滲泄は、汗および小便、お風呂にはいって体をあっためるのもみんなふくむ」
 
 
 六の者、或い(あるい)は收め(おさめ)、或いは散じ(さんじ)、或いは緩し(ゆるうし)、或いは急にし、或いは燥かし(かわかし)或いは潤し(うるおし)、或いは耎(ぜん)にし、或いは堅う(かとう)す。
 
(解説)
『素問』藏氣法時論篇第二十二にこれに関連する文章がある。
「辛(しん:からい,ぴりから)は散。酸は收(しゅう)。甘は緩。苦は堅。鹹(かん:しおからい)は耎(ぜん:やわらかい)」
「この五者は、辛酸甘苦鹹あり。おのおの利するところあり。あるいは散じ、あるいは收し、あるいは緩し、あるいは急す。あるいは堅(けん)し、あるいは耎(ぜん)す。四時五蔵の病、五味よろしきところにしたがう」 (春夏秋冬に出てくるさまざまな五蔵の病というものは、それに一番かなう五味の作用をわきまえて、それにもとづいた治療を行う)
 
*散は発散、收は収斂、緩は緩和、急は緊急、燥は乾燥、潤は濡潤、耎(ぜん)は柔軟、堅は堅實のことである。八種類の薬性を持つ。
 
 
 利する所を以て(もって)之れ(これ)を行い、其の(その)氣を調えて(ととのえて)、其れをして平(へい)ならしむ、と。
 
 適宜の薬性によってこれを使用すれば、気を調和させて「平」にさせることができる。
 
(解説)
「利」:『内經詞典(だいけいしてん)』という辞典によると、『素問』藏氣法時論篇第二十二を引いて「宜・適宜(ぴったり適っているもの)」の意味であるという。

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『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。
いよいよ八月は年に一度の、特別講義です。今年のテーマは『脈論口訣(みゃくろんくけつ)の研究』についてです。篠原先生のコメントをご紹介します。
 
『脈論口訣』は江戸時代に最も広く流布した脈書であり、経絡治療創成期からよく読まれて、近年まで謄写版や影印本が何度も出ています。ただ、その位置づけや臨床的な読解はなかなか難しいように感じます。このたびはこれを考究して、少しでも理解が深まるようにしてみたいと思います。
 
 
(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)