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研修会&講座のお知らせ

平成30年度 第4回学術講習会報告①妊娠・出産・産後を考える 2018.12.22


 
■日時:平成30年11月11日
■会場:森ノ宮医療大学 コスモホール

【講演1】「妊娠・出産・産後を考える」                 
 鍼灸師・助産師 大平純子 先生

 妊婦さんに効くツボと言えば、三陰交、至陰・・・。と鍼灸師なら誰もが思いつくイメージだと思いますが、実際、臨床で妊婦さんを治療するにあたっては、それだけでは不十分です。今回は妊婦さんの専門家である大平先生に、妊娠・出産についての必要な知識、そして産後のケアまで、現場の声を聞かせていただきました。
 また参加者においては比較的若い女性も多く、質疑応答では非常に活発な意見交換が行われました。大変貴重な講義内容であり、参加者の皆さまも非常に満足そうにされていたのが印象的でした。
 
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 妊娠についての基礎はまず、妊娠期間のタイムテーブルを正確に把握することから始まる。妊娠から最初の10週間は重要な器官のできる時なので、感染や放射線、薬に注意する。また、2カ月から4カ月にかけては流産、8カ月から10カ月にかけては早産の危険性があるので注意する。中には、何らかの原因で胎児の発育が停止した場合など、避けられない流産もあることを知っておく。

 妊娠中期(16週~27週)においては比較的体調も安定してくる。つわりも治まり、食事も美味しくなる為、バランスの良い食事を心がけ、貧血や肥満に注意する。特に有色野菜を多く摂り、蛋白質・脂肪は適量に。また、カルシウム・鉄分を多く摂り、糖質・果物は少なめに。小麦・卵・乳製品などのアレルギー食品は摂り過ぎに注意する。

 さらに、規則正しい健康的な生活をすることが非常に大切であり、胎動を自覚し、赤ちゃんを迎える準備を始める。妊婦に適した運動は、無理をしない適度な運動を安全にすることが大切で、散歩やマタニティビクス、マタニティヨガなどが推奨される。

 妊娠中は新陳代謝が旺盛であるが免疫力は低下する為、衣類にも工夫が必要。汗をよくかき帯下が増える為、吸湿性・通気性のある木綿製品の下着がよい。また、足首・腰を温めて、体を冷やさないように注意する。妊娠経過と共に体型が変わるので、ゆったりとした衣類にすることと、腹筋が弱い場合は支える為に妊婦用のGパンやショーツ等で上手に腹帯を利用する。

 妊娠28週以降の妊娠後期はお腹が張りやすくなる為、早産に注意すること。早産を起こさないようにするには、①安静②保温③感染の予防を心がける。

 また、胎児がどこを蹴っているかを意識することで胎位を確認できる。妊娠28~34週は羊水量の割合が多い為、胎児は動きやすい。もしこの時期に骨盤位であっても治りやすい為、治ったらタオルでゆるく腹帯をして固定する。また、逆児体操も有効。

 さらに、この時期は腎臓に負担がかかりやすくなる為、妊娠高血圧に注意する。食事に関しては、塩分を控えめにし、味付けは薄味にする。

 妊娠36週以降は、安産に向けての体力作りの為、しっかり体を温めることと歩くことが大切。また本格的な乳房ケアをしておく。体を温めてもらう為に、半身浴やカイロなどの使用、衣類の工夫を指導する。また、足三里・三陰交・腎兪・八髎穴等への温灸や棒灸も有効。
元気な赤ちゃんはお産が近付いてもよく動く(1時間に10回)。NST(ノンストレステスト)では子宮収縮と胎児心拍の確認ができる。もし赤ちゃんが動かない時や持続的なお腹の痛みなどがある時は、すぐに病院の受診をしてもらう。

 近年の問題点として、高年出産や、情報過多による不安を抱えていることなどがある。また、妊産婦の主な死因の原因の1位は自殺である。そこで、対策として保健師・助産師による家庭訪問、経済的支援、グループ作りなどがある。産後うつの診断はエジンバラ産後うつ病質問票を利用する。

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 妊産婦さんの治療を受け持つには、妊娠・出産についての正しい知識を知っておくことと、何よりも安心して治療を受けてもらえるような信頼関係が不可欠です。鍼灸師として妊産婦さんのケアに貢献できることは沢山あると思いますので、今後さらに学術を深めて臨みたいと思います。

(研修委員 上田里実)