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素問

平成31年4月素問勉強会(令和元年度)/示從容論篇(ししょうようろんへん)第七十六より2019.05.23

●日時:平成31年4月14日(日) ●会場:大阪府鍼灸師会館3階
●講師:日本鍼灸研究会代表 篠原孝市先生

・医道の日本 2019年4月号 『臨床に活かす古典№83 内経 その4』のお話より
 
 中国では近代になり、近世まで続いてきた漢籍の、つまり中国の書物あるいは医書というものの伝統がくずれて、あるいは近代化というものがはじまった。そういう環境で勉強され一定の成果をあげられた中国のひとたちがいた。
 
◎郭靄春(かく あいしゅん)1912~2001
著書
①『黄帝内経素問校注語訳』 天津科学技術出版社、1981年 校注部分と語訳部分がある。語訳とは現代中国語の訳である。
 
②河北医学院校釈『霊枢経校釈』 人民衛生出版社、1982年。主編 郭靄春
 
③『黄帝内経霊枢校注語訳』 天津科学技術出版社、1989年 『黄帝内経素問校注語訳』と対になるものである。これも非常によくできている。
 
④『黄帝内経素問校注』2冊本 人民衛生出版社、1992年
 日本の森枳園(もり きえん)の著作『素問攷注(そもんこうちゅう)』の業績がすでに取り上げられている。古今諸家の成果を取り入れてある。しかも姉妹編として現代語訳の『黄帝内経素問語訳』が1冊本としてついている。校注と語訳で矛盾しているところはあるが、あれだけ膨大なものなので、それを言ってもしかたがない。清朝考証学派といわれる、清の時代の文献研究の方法をとりいれた非常に正統的なテキストが作られている。
 
 諸子百家に通じていて『素問』『霊枢』で、文献にこりかたまっているみたいなものとは、まったく違うひとだと思う。この四書は中国革命以降に出版された、もっともすぐれた『内経』注解書であり、現在までこれを越えるものはないと言い切ることができる。
 
◎張燦こう(こう【玉へんに甲】,ちょう さんこう)1928~2017
著書(主編のひとりとして)
①『針灸甲乙経校釈』 人民衛生出版社、1979年初版
 
②山東中医学院・河北医学院校釈『黄帝内経素問校釈』 人民衛生出版社、1982年。中国医薬科技出版社、2016年再版
 
③『鍼灸甲乙経校注』 人民衛生出版社、1996年初版、2014年重刊 『霊枢』の注解をみるときにはこの本をみなければいけない。
 
④『黄帝内経文献研究』 上海中医薬大学出版社、2005年初版。科学出版社、2014年修訂版 よくできた本である。「内経」研究の必読書といえる。
 
 わたしもお目にかかったことがある。食事をされている最中に「日本と中国はなかよくしなければならない」と突然演説をはじめられた。今回、伝記的なものを読んでその趣旨がよくわかった。日中戦争の影響をうけて学校をやめなければならないということもあったようだ。15歳で祖父と父から中医学をまなぶ。1959年から山東中医学院で教べんをとられた。1964年から徐国仟(じょ こくせん、1921~1995)というひとと共に『鍼灸甲乙経』の研究をはじめた。
 
◎錢超塵(せん ちょうじん)1936~
著書
『内経傷寒論語法通釈』 北京中医学院、1982年
『内経語言研究』 人民衛生出版社、1990年
『黄帝内経太素研究』 人民衛生出版社、1998年
『黄帝内経太素新校正』 学苑出版社、2006年
『黄帝内経研究集成』全4冊 温長路と共編。中医古籍出版社、2010年
『清儒《黄帝内経》小学研究叢書』全5冊 北京科学技術出版社、2017年
『金刻本〈黄帝内経素問〉校注考証』 錢会南と共著。学苑出版社、2017年
 
 北京師範大学に学ぶ。陸宗達(りく そうたつ、1905~1988)の弟子として、正統的な清朝考証学を勉強したひとである。わたしが最初に錢超塵氏の名前を知ったのは『内経傷寒論語法通釈』という北京中医学院でたくさん配布されていたものを手にいれた時であった。
 今年83歳になられるのであるが2010年代になってからも『素問』『霊枢』の関係だけでも、『黄帝内経研究集成』全4冊、『清儒《黄帝内経》小学研究叢書』全5冊、『金刻本〈黄帝内経素問〉校注考証』がある。『傷寒論』に関係する著作はその倍ぐらいある。いつ勉強したのかと思うぐらいものすごいものである。
 
 錢超塵氏の本ならどれを買っておいても良い。
 
 
・示從容論篇(ししょうようろんへん)第七十六
 
 この篇に対して北宋時代の儒者が注をつけた『新校正注』によると、全元起(ぜんげんき)本の第八巻に入っていて「從容別白黒」という篇名があるという。
「從容(しょうよう)」は医学の重要な理論のこと、それを示すということで「示從容論」と名付けられた。
 
 
 1992年6月14日(日)の第一回からはじまった『素問勉強会』の道のりもそろそろ終盤です。『素問』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜です。
『素問』はまだしばらく続きます。そして、『素問』から『霊枢』に切れ間なくつづきます。

 
 
(素問勉強会世話人  東大阪地域 松本政己)