報告第1回生涯研修会受講報告書
令和8年度、第1回生涯研修会が大阪府鍼灸マッサージ師会館で開催されました。今年から、両師会合同開催といういことと、粕谷先生の講義ということもあり、会場に50名近い参加と、Zoom参加者も合わせて100人近い参加となりました。大好評の内に研修会も終わり、特に問題なく終われることができました。第2回も是非参加お待ちしております。慢性疲労・疼痛に対する顔面・頭部の鍼灸・手技療法
~ツボ刺激で疲れは取れる、脳内麻薬オピオイド~
本講演では、現代社会における慢性疲労の現状とその発生機序、さらに顔面・頭部への鍼灸治療を中心とした最新の知見について学んだ。日本では多くの人が疲労を自覚しており、特に 20~40歳代でその割合が高いこと、また疲労は身体的・精神的活動に伴って脳内の酸化ストレスが増大し、視床下部や前帯状回などの自律神経中枢を介して「疲労感」として認識されることが紹介された。疲労は「飽きた」「疲れた」「眠い」という三大症状を経て進行し、十分な休養が得られない場合には慢性化することを理解した。
鍼灸治療の作用機序としては、酸化ストレスの軽減、抗酸化能の向上、自律神経機能の調整、脳血流の改善、睡眠の質の向上など、多面的な生理作用が報告されていることが示された。また、システマティックレビューでは、慢性疲労に対する鍼治療の有効性が示唆されている一方で、質の高い研究は十分とはいえず、今後さらなる臨床研究の蓄積が必要であることも説明された。さらに、百会、四神聡、印堂、足三里、三陰交などの経穴が多く用いられ、近年では顔面・頭部への鍼刺激が脳血流や前頭前野の活動に影響を及ぼす可能性についても報告が増えていることを学んだ。
特に印象的であったのは、鍼通電療法において刺激周波数によって分泌される内因性オピオイドが異なるという説明である。2Hz ではエンケファリンやエンドモルフィン、15Hz ではエンドルフィン、100Hzではダイノルフィンの分泌が促進されることが報告されており、2~100Hzのスィーブモードを用いることで複数のオピオイドの分泌を促し、慢性疲労や疼痛の軽減につなげるという治療戦略は、科学的根拠に基づいた興味深い内容であった。
今回の研修を通じて、慢性疲労に対する鍼灸治療は疼痛の軽減だけでなく、自律神経機能や睡眠、脳機能にも働きかける可能性を有することを改めて認識した。今後は最新のエビデンスを継続して学びながら、患者一人ひとりの病態に応じた治療を実践し、慢性疲労や慢性疼痛に対する鍼灸治療の質の向上に努めていきたい。
研修委員長 清藤直人
































