霊枢勉強会報告
報告『黄帝内經靈樞』順氣一日分爲四時 第四十四 第一章
講師 :日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生日時 :令和七年(2025年) 12月14日(日) 第56回
会場 :大阪府鍼灸師会館 3階
出席者:会場15名(会員5名,一般10名) WEB17名(会員9名,一般3名,学生5名)
『黄帝内經靈樞』 順氣一日分爲四時(じゅんき いちにち ぶんし しじ)第四十四 第一章
○01 黄帝曰。 02 夫百病之所始生者。 03 必起于燥涇寒暑風雨。 04 陰陽喜怒。 05 飮食居處。 06 氣合而有形。 07 得藏而有名。 08 余知其然也。
01 黄帝(こうてい)曰(いわ)く、 02 夫(そ)れ百病(ひゃくびょう)の始めて生(しょう)ずる所(ところ)の者(もの)、 03~05 必ず燥涇寒暑風雨(そうしつ・かんしょ・ふうう)、 陰陽喜怒(いんよう・きど)、 飮食居處(いんしょく・きょしょ)に起(お)こる。 06 氣(き)合(あ)いて形(かたち)有り。 07 藏(ぞう)を得(え)て名(な)有(あ)り。 08 余(われ)、 其(そ)の然(しか)ることを知る。
(解説)
*病気というものは、二つの方角からもたらされる。 一つは「外邪」といわれるもの、 もう一つは後の時代に「内傷」と呼ばれるものである。
*06節は、邪気が人のからだに影響して、 「形」つまり外に見えるように症状が出ることを示している。
*07節は、 病態が五藏(ごぞう)のいずれかに分類されることによって具体的な名称がつくことを言う。
*黄帝(こうてい)の言わんとするところは、おおむねこのようなことか。
「からだの外から、あるいは内からの影響によって、五藏(ごぞう)というものが傷害され、 その結果として、五藏(ごぞう)と連絡している各々の經脈(けいみゃく)の流注(るちゅう)部分に病態があらわれてくる。 それを知っている。」
○09 夫百病者。 10 多以旦慧晝安。 11 夕加夜甚。 12 何也。
09 夫(そ)れ百病(ひゃくびょう)は、 10 多くは以(もっ)て旦(あした)には慧(さと)く、 晝(ひる)は安く、 11 夕(ゆうべ)は加え、 夜(よる)は甚(はなは)だしきことは、 12 何(なん)ぞや、 と。
(解説)
*09~12節を訳してみる。 「それにも関わらず、 百病、諸々の病(やまい)というものは一日の時間で見れば、 朝は割合軽く、 晝(ひる)も比較的安定している。 夕方になって来るとだんだん症状がひどくなり、 夜は症状がはなはだしい、 同じ藏(ぞう)の病気であっても、一日の時間によって症状のはげしさが違う、 それはどのようなことか。」
○13 歧伯(きはく)曰(いわ)く、 14 四時(しじ)の氣(き)、 然(しか)らしむ、 と。
(解説)
*歧伯(きはく)は、黄帝(こうてい)の問いに、こんなふうに答えている。
「一年間の四季、春夏秋冬のように、 一日の中にも、春夏秋冬のような陰陽の氣(き)の変化があるのです。 そこで、これらのことが起こるのです。」
○15 黄帝曰。 16 願聞四時之氣。 17 歧伯曰。 18 春生夏長。 19 秋收冬藏。 20 是氣之常也。
15 黄帝(こうてい)曰(いわ)く、 16 願(ねが)わくは四時(しじ)の氣(き)を聞かん、 と。 17 歧伯(きはく)曰(いわ)く、 18 春(はる)は生(しょう)じ、 夏(なつ)は長(ちょう)じ、 19 秋(あき)は收(おさ)め、 冬(ふゆ)は藏(ぞう)す。 20 是(こ)れ氣(き)の常(つね)なり。
(解説)
*15~16節で黄帝(こうてい)はこのように問うている。
「四時(しじ)の氣(き)とは一体、何であろうか。 それを聞きたい。」
*それに対し、歧伯(きはく)はこのように答えている。
「春は生(しょう)ず。 夏は長(ちょう)じ、 秋は收(おさ)め、 冬は藏(ぞう)す。
*この答えの背景には、陰陽の氣(き)のバランスによって生(せい)、長(ちょう)、收(しゅう)、藏(ぞう)に働くという考え方がある。 春は発生の気、 夏は成長の気、 秋はものを収める気、 冬はものをしまいこむ気、これが気の一般的なありかたである。
○21 人亦應之。 22 以一日分爲四時。 23 朝則爲春。 24 日中爲夏。 25 日入爲秋。 26 夜半爲冬。
21 人(ひと)も亦(ま)た之(これ)に應(おう)ず。 22 一日(いちにち)を以(もっ)て分(わか)ちて四時(しじ)と爲(な)す。 23 朝(あさ)は則(すなわ)ち春(はる)と爲(な)し、 24 日中(にっちゅう)は夏(なつ)と爲(な)し、 25 日入(にちにゅう)は秋(あき)と爲(な)し、 26 夜半(やはん)は冬(ふゆ)と爲(な)す。
(解説)
*ここでは「一日(いちにち)」の中に「四時(しじ)」、 つまり春夏秋冬を見出している。
*朝が春(はる)、 日中(にっちゅう)つまり正午であるが、これは夏(なつ)、 日入(にちにゅう)、夕方は秋(あき)、 夜半(やはん)、真夜中は冬(ふゆ)に対応させて考えている。 なぜそのようにするのかは、27節以下に記されている。
○27 朝則人氣始生。 28 病氣衰。 29 故旦慧。 30 日中人氣長。 31 長則勝邪。 32 故安。 33 夕則人氣始衰。 34 邪氣始生。 35 故加。 36 夜半人氣入藏。 37 邪氣獨居于身。 38 故甚也。
27 朝(あさ)には則(すなわ)ち人氣(じんき)、 始(はじ)めて生(う)まる。 28 病氣(びょうき)衰(おとろ)う、 29 故(ゆえ)に旦(あした)は慧(さと)し。 30 日中(にっちゅう)には人氣(じんき)、 長(ちょう)ず。 31 長ずれば則(すなわ)ち邪(じゃ)に勝つ。 32 故(ゆえ)に安(やす)し。 33 夕(ゆうべ)には則(すなわ)ち人氣(じんき)、 始めて衰(おとろ)え、 34 邪氣(じゃき)始めて生(しょう)ず、 35 故(ゆえ)に加(くわ)う。 36 夜半(やはん)には人氣(じんき)、 藏(ぞう)に入(い)り、 37 邪氣(じゃき)、 獨(ひと)り身に居(お)る、 38 故(ゆえ)に甚(はなは)だし。
(解説)
*27節の「生(う)まる」という表現であるが、 これは発生するという意味ではなくて、 「発動」する、活動を開始するという意味である。
*29節は「朝は比較的、症状が軽いのだ。」と言っている。
*33節の「夕(ゆうべ)」、これは秋(あき)に対応する。 陽(よう)の気が盛んであった朝(あさ)、晝(ひる)を経て、夕方から夜にかけては、陰(いん)の気が出てくる。 その状態が33節の「人氣(じんき)、 始めて衰え」というものである。
*34節「邪氣(じゃき)始めて生(しょう)ず」という状態であるが、 からだの中での陰陽のアンバランスが著しい状態を指す。 そこで35節「故(ゆえ)に加(くわ)う」、症状がひどくなるのだと言う。
*36~38節では、おおむね、このようなことを言っていようか。 「夜は気(き)というものが藏(ぞう)に帰ることによって、 睡眠状態に入るということなのであるが、 その時には人氣(じんき)は邪氣(じゃき)を抑えることが出来ず、 症状がひどくなる。」
*『霊枢』の森を歩いてみませんか。 毎月休まず第二日曜午前10時から12時まで、大阪府鍼灸師会館3階です。 勉強会の案内につきましては本会ホームページをご確認下さい。
次回は2026年2月8日(日)、『霊枢』「五變(ごへん)第四十六」です。会場、WEBでお待ちしています。
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(霊枢勉強会世話人 東大阪地域 松本政己)
































