公益社団法人 大阪府鍼灸師会

素問・霊枢報告

霊枢勉強会報告 令和四年四月

講師 :日本鍼灸研究会代表 篠原 孝市 先生
日時 :令和四年(2022年) 4月10日(日)第13回
会場 :大阪府鍼灸師会館 3階
出席者:会員26名(うちWeb17名) 一般18名(うちWeb9名) 学生9名(うちWeb8名)
*4月度は会場19名、ネット配信での受講が34名でした。

○『黄帝内經靈樞』根結(こんけつ)第五 ・ 第十四章(**一部を抜粋)
○35 滿而補之。 36 則陰陽四溢。 37 腸胃充郭。 38 肝肺内しん。(しん:つきへん【月】に「眞」)
39 陰陽相錯。
35 滿(み)ちて之(これ)を補(おぎな)へ(え)ば、 36 則(すなわ)ち陰陽(いんよう)四溢(しいつ)し、
37 腸胃(ちょうい)充郭(じゅうかく)し、 38 肝肺(かんはい)内(うち)にしんし、(しん:つきへん【月】に「眞」)
39 陰陽(いんよう)相(あい)錯(あやま)る。
(解説)
*「35 滿(み)ちて」は、『甲乙經(こういつきょう)』という本では、「實(じつ)」になっている。
(**『靈樞經校釋(れいすうきょうこうしゃく)』上冊137頁云、「滿而補之”:〈甲乙〉卷五第六 “滿” 作 “實”。」4月10日配布資料24ページより抜粋)
*36 則(すなわ)ち陰陽(いんよう)四溢(しいつ)し :
『甲乙經(こういつきょう)』にあるここの文章は 「則陰陽血氣皆溢(すなわち陰陽血氣みなあふれ)」 となっている。こちらの方がわかりやすい。
*「38 肝肺(かんはい)内(うち)にしんし」(しん:つきへん【月】に「眞」) :
腹が張ることや痛くなること、胸が詰まったような感じになることを指すのだと思う。「腸胃(ちょうい)充郭(じゅうかく)」というのは腹部に圧迫感があるということである。
*39 陰陽(いんよう)相(あい)錯(あやま)る :
『素問』「八正神明論(はっせいしんめいろん)第二十六」をはじめとするあちこちの篇によく出て来る文章である。
正しい状態に陰陽の気というものが、ととのっていないということを言っている。

○40 虚而寫之。 41 則經脈空虚。 42 血氣竭枯。 43 腸胃しょう辟。(しょう:にんべん【イ】に「聶」)
44 皮膚薄著。 45 毛腠夭膲。 46 予之死期。
40 虚(きょ)して之(これ)を寫(しゃ)すれば、 41 則(すなわ)ち經脈(けいみゃく)空虚(くうきょ)し、
42 血氣(けっき)竭枯(けっこ)し、 43 腸胃(ちょうい)しょう辟(しょうへき)し、(しょう:にんべん【イ】に「聶」)
44 皮膚(ひふ)薄著(はくちょ)し、 45 毛腠(もうそう)夭膲(ようしょう)す。
46 之(これ)に死期を予(あた)う。

(解説)
*40 虚(きょ)して之(これ)を寫(しゃ)すれば、 41 則(すなわ)ち經脈(けいみゃく)空虚(くうきょ)し :
虚(きょ)してるものを寫(しゃ)してしまうと、経脈がからっぽになると言っている。
*42 血氣(けっき)竭枯(けっこ)し :
経脈の中を流れている血(けつ)と氣(き)がつきてしまう。と言っている。
*43 腸胃(ちょうい)しょう辟(しょうへき)し、(しょう:にんべん【イ】に「聶」) :
「しょう」は、りっしんべんの「懾(しょう)」の字を使う場合もある。

『素問(そもん』という本の「調經論(ちょうけいろん)」という篇に 「虚者聶辟氣不足【虚する者は聶辟(しょうへき)して氣足らず】」 という文章がある。おそらくここの文章と重なるものだと思う。腸胃の気が充分に無い状態を指すものと思う。その状態の時は食べても、ちゃんと消化しないで下してしまったりする。

*44 皮膚(ひふ)薄著(はくちょ)し : 
「薄著(はくちょ)」というのは皮膚が骨にくっつくさまを言う。痩せているのを「皮膚(ひふ)薄著(はくちょ)」と表現している。

*45 毛腠(もうそう)夭膲(ようしょう)す : 
「毛腠(もうそう)」は皮毛(ひもう)と腠理(そうり)を言う。からだの表面の総称と、とりあえず考えて欲しい。「夭膲(ようしょう)」の「夭(よう)」は青白い状態を指す。若くして死ぬのを夭折(ようせつ)と言う。
「膲(しょう)」は焦(こ)がれてしまうことを言う。「夭膲(ようしょう)」は、ここでは皮膚の表面がかさかさになって色つやがなくなった状態を言う。

*46 之(これ)に死期を予(あた)う :
ここでは「短期」ではなく、ずばり「死期」と言っている。予後が良くないのだと言う。

○47 故曰。 48 用針之要。 49 在于知調陰與陽。 50 調陰與陽。 51 精氣乃光。 
52 合形與氣。 53 使神内藏。

47 故(ゆえ)に曰(いわ)く、 48 針を用(もち)うるの要(よう)は、
49 陰(いん)と陽(よう)を調(ととの)うことを知るに在(あ)り。 50 陰と陽を調(ととの)うれば、
51 精氣(せいき)乃(すなわ)ち光(おおい)なり。 
52 形(けい)と氣(き)を合(ごう)すれば、 53 神(しん)をして内(うち)に藏(かく)らしむ。
(解説)
*皆さんは「陰と陽を調(ととの)う」ということの実感があるだろうか。「陰と陽の調和」というのは、やはり経絡の調和という意味と、脈状が浮き過ぎるものを沈め、沈み過ぎるものを浮かせるということがある。脈状の浮き過ぎたもの、沈み過ぎたものは陰陽の不調和だと言える。また脈状が早いもの、遅いものも陰陽の不調和と言える。これを調和させるということが陰陽の調和を計るということである。鍼をするポイントというのは、脈状から見た場合、ここでいう陰陽の調和をすることである。また皮膚を見た場合には滑(かつ)が過ぎたり、濇(しょく)が過ぎたりする状態を過ぎないものにすることが陰陽の調和ということである。

*51 精氣(せいき)乃(すなわ)ち光(おおい)なり :
精氣(せいき)が充実することの一番の表れは、皮膚の状態と眼の感じと、からだを動かした感じである。これは誰でもわかる。精氣が充実すると、ひとは「あれ、こんなに肯定的な雰囲気になるんだ」というぐらい変わる。声の感じも、眼の感じも、立ち居振る舞いも、そうでない時と比べてみんな違ってくる。体調が良くなると症状がどうということでは無くて、なにか雰囲気が全体的に明るくなる。これは大事である。

*52 形(けい)と氣(き)を合(ごう)すれば、 53 神(しん)をして内(うち)に藏(かく)らしむ :
神(しん)の気があるというのは、なにか神秘的なものを指すのかと言うと、そうではない。形(けい)と氣(き)というものが調和した状態を言っている。からだは極端に太ったり痩せたりしていないで、氣(き)は極端に虚(きょ)すこともなく実(じっ)することもない状態こそ、神(しん)がある状態だと言う。


【さらに勉強したい方のために】
京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
(https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp)
渋江抽斎 ⇒ 検索 黄帝内経霊枢24巻首1巻で『靈樞講義』のマイクロフィルム画像を見ることが出来ます。

*『霊枢』の森を歩いてみませんか。毎月休まず第二日曜、午前10時から12時まで大阪府鍼灸師会館3階です。COVID-19感染予防対策の下、勉強会のご案内につきましては本会ホームページをご確認下さい。次回は2022年6月12日(日)「官針 第七」です。お楽しみに。

(霊枢のテキストは現在3冊の在庫があります。1冊1,600円です。受講申し込み時、または当日、受講受付けにてお問い合わせください)

素問勉強会世話人 東大阪地域
松本政己

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